夢/小川 葉
 
 
 
スーパーのかたすみで
君が開発した商品が
売られている

九十八円で
売られている

定価がいくらかなんて
ここで言えやしないけれども

君はこの商品の
発売が決まったとき
僕に酒をおごってくれたね

とても楽しい酒だった
君も苦労してたからね

ところで
君は今
生きてるんだろうか

生きていることと
死んでしまったことの
距離だけが残されたまま

君の夢をひとつ買った
電話したけれど
もう通じなかった
 
 
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