遠ざかる5月の輪郭/うめぜき
 



詩は


誰にでも届かないところで
誰にでも触れられない距離で
詩は やわらかい
詩は 傷ついている


詩は
誰にでもからだをゆだねて
詩は おとなしく それでも 壊れずにいる



詩のことを
本当は忘れずにいて
本当は憧れていた



詩は(僕は)

微笑んでいるんじゃないか
声を上げているんじゃないか
手を大きく振っているんじゃないか


晴れた空を白い雲がわずかに形を変えながら、行く
まるで旗のように揺らめいた5月
僕は詩を書く
抱きしめられたいからか
抱きしめたいからか、は、
良くわからない


買い物袋を持って部屋に入り、
手を洗って、うがいをし、
冷蔵庫に品物を仕舞う
パソコンを開いて
忘れないようにキーボードを叩いた


またどこかに
遠ざかってしまった
輪郭を
眺めなおしている













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