空色の恐怖/
K*
ほの暗い井戸の底から
ずうっと見上げていた
ずうっとずうっと上にある
澄んだ空は
わたしの憧れだった
いつかここから抜け出して
もっと体いっぱいに
太陽の光や空の色や雨を浴びたかった
そして必死にもがき
ついに井戸から這い上がって
周りを見渡せばはるか遠くまで続く
拓けたビル街
入り組んだ町並み
空は思ったよりずうっと狭くて
あんなに美しいと思っていた空の色だって
今では恐怖しか呈さない
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