止まり木のひと/恋月 ぴの
私の小鳥が死んだ
何度か獣医さんに診てもらったりしたけど
これが胸騒ぎなのだろうか
部屋の錠を開けるのももどかしく逆光に沈む鳥かごへ駆け寄れば
初夏の陽射しのなかで彼は小さな亡骸と化していた
白い鳥かごと私たちの部屋
彼にとっての世界とはそれが総てだった
ふたりの子供代わりにでも思ったのだろうか
齧目の小動物でも良かったけど
共稼ぎしてるから手のかかりそうなペットは飼いきれないだろうし
犬猫とかは飼えないはずのマンション暮らしだった
他の雛たちと比べるとか弱そうにみえた
目と目があった気がした
赤い糸で結ばれている気がした
買う気満々でペットショップを訪れた
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