その名は、あした/あ。
叶わなかったものを
あした、と呼ぶことにした
ガラガラで出てきた白い玉
おじさんが残念でしたとティッシュをくれた
列から離れるとラッパの音が揚々と響く
真っ赤な自転車を当てた女の子は
ラッパの音と同じ顔をしていた
誰かが上手にやっていると
自分だって出来るはずと試してみる
付け焼き刃でこなせることなんて
たかがしれているってじきに気付いた
ひとはるの恋はひとはるのもので
種にまぎれて飛んでいってしまうもの
飛んでいく後押しをしたのも
いつまでもめそめそと嘆いていたのも
誰でもない自分だった
振り返ることは後悔じゃなくて
触れられるものに手を伸ばすこと
例えば
次のくじびきでは当たりが出たり
上手に出来ることが見つかったり
季節を越えた恋が見つかるかも
しれない
手を伸ばした自分も
あした、と呼ぼう
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