ごめんなさい/AKiHiCo
 


顔も合わせなくなって
絆とは何かが判らなくなって
両親の罵声で胸が痛くて
一番悲しかったのは
貴女だと今になって判るなど

ごめんなさい
邪険にして

家族が家族でなくなってゆく様は
当時の僕には非道く混沌としており
何故そうなったのか
それさえ理解出来ませんでした

謂われるが儘に自室に篭り
罵声と悲鳴に耳を塞ぐばかり
思い出だけは傷付けず
今も持ち歩いているのです

貴女が居なくなった部屋
飾られた儘の
僕が折った折鶴
埃を被っておりました
貴女の優しさ
埃を払う自由さえ無い腕

いつも寝台に横たわった時に
眼に入る位置に僕が折った折鶴
過去を遡る巡る思い出は淡く

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