降り来る言葉 XLI/
木立 悟
らききり惑いに満ちる
誰もいない港に
雑踏が響く
白くあおむけのかたちのものが
飛びたってゆく
浴びる水は少なくないのに
歩幅はせわしく渇いている
絶たれたまなざしの切断面
どれも等しく三日月をしている
轟々と黄を剥がす火
白へ白へ白へと変わり
どこにもつながらぬ橋のように
流れのなかにたたずんでいる
ひとり熱を帯びていた手が
それ以上に熱い顔をぬぐい
まぶたについた千の傷を
昼の光にかがやかせてゆく
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