はるか/木屋 亞万
 
死んでしまったような年月だ、一緒に生きていようと決意し、ずっと傍にいてもいいとすら思っていたというのに。それでもまだ遅くはない、はるかも僕もまだ生きている、そのことを知らせるためのはるかの背中なんだろ、だから瞼から出ておいで、はるか

僕は手を差し延べた、
はるかは首を振った
彼女が僕に篭城して
もう4年になるようだ
街中で白いカーディガンを見ると
号泣してしまうほど、僕は弱っている
けれど、尋ねてくる誰に対しても
この事情を上手く説明できないでいる
僕は設問に何度も何度も首を振る
女がしつこく話し掛けてくる
頼むからそっとしておいてほしい
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