なもなきほしと/たりぽん(大理 奔)
 
そのひとが指した
暗闇に
また星座ができる
夜空の不確かさに
うなずきながら
長い髪が揺れると
それは五等星ぐらい
小さく笑うと
三等星ぐらい

月影を手に入れるために
なにもかもに名前を付ける
それは国境だったり
暦だったり
木や草や
故郷のなまえ
離れたくないひとの
小さい笑いはやっぱり二等星

それだけが
夜空に不確かさを
分かち合える
密やかな決めごと
あなたとしかたどれない星座の向こうには
二人でしかたどりつけない
朝もやがたちこめる

最後に消えていく星の
名前、つぶやきあう二人
その星こそが
一等星



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