星のたね/たちばなまこと
丘陵にひかる
白い壁とガラスの
その中に彼女はいて
いつもの声色で
「やあ」とほほえむ
黒い髪に白いバラ
ブーケにはビバーナムという
時の花
“ 私に娘が生まれたら
このドレスを見せつけよう ”
なんて
思いながら縫い付けた巻き花たちが
ふふふと笑う
彼女という白い花
妹のような姉のような双子のような
私はそんな気分
朝日のような彼女の
今日は結婚式だよ
空のあなた
雨が浄化させた
初夏の色
誠実を語る彼の瞳は
あいもかわらず瞬いていて
太陽の時間に星が見えるのなら
こんな星だろうと
いつも思っていた
彼女をとりこむ星の瞳は
よりいっそ
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