「嬰子の褥」返詩 胎児のわたしから母へ/夏嶋 真子
がなににも負けないと言った同じ心で
わたしもまた誓うのです
あなたにみなぎるその力は
わたしに命を萌芽させるひたむきさは
眠っていたわたしの体中に火を放ち
熱い 熱いのです
飢餓にみまわれた心で
わたしは叫び駆け出します
あなたとは完全に隔てられた一個の個になりたい
だって
あなたの肌にふれ
あなたの乳を吸いたい
カアサン カアサン
ただそれだけが
カアサン カアサン
なににも負けない
カアサン カアサン
わたしの生への衝動なのです
2009/04/28 母の誕生日に
戻る 編 削 Point(30)