ちいさな夏と檸檬郷/唐草フウ
 

焼けこげてしまいそうな 夏
小さい背中で
我慢を覚えた

春のうららかだったことも忘れて
はだしの17センチに
世のなかは わからない
雲に乗れることさえ 疑わない

小さい背中に
こげるような夕の陽
夏はずっと明るいから
帰らなくてすむ


つかれちゃった
     だまりこんで
      まっくろ あしのうら
  

今のわたしのどこかに
君がいつづける
ときどき胸に針を刺し
空の中に血がにじむ

へっちゃら
    だいじょうぶ


(おかあさん!)


もうどうしようもない
どうしようもないんだけど
小さくなってしまった時
あなたが呼んでくれた
檸檬色の泉に
浸して背中の
やけどを
癒して

小さいわたしは時々いじわる
それはたすけてのサイン
そして信じたいと願う
瞳からは
月の色したなみだ
もうこれで大丈夫と
言ってもらえるときを待てると思った
思えばセピアだらけの夏の日
檸檬だけが浮かんでいた








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