眩しいため息/木屋 亞万
 
椅子に深くもたれかかり
こめかみを押さえる、溜め息は青い
彼女の顔の色はモノクローム
見る者が自分の色覚を疑うほどの、
肌は飽和を通り越した砂糖水の白さ
髪は宇宙の広がりを押し留めた黒さ
皺のつくことのない黒のスーツ
複数の窪みがさりげなく影を落とす白シャツ
男が見る夢は常に無彩色


夜に独占された駅で電車を待つ
彼女は顎を緩めて空の足元を眺める
色男を靴からチェックするように
白いニットの帽子が揺れる
電車が二本、目の前を通過しても
彼女の網膜には空しか映らない
電車は彼女を見る目すら持たないで
足元の線路を高速で突き進むのみ
彼女が無人の駅でついた溜め息
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