ゼニゴケ/
たもつ
春が死んでいた
花びらもない
あたたかな光もない
ゼニゴケの群生する
庭の片隅で
地軸の傾きと公転は
果てしなく続き
生きていく、ということは
傲慢な恥ずかしさの
小さな積み重ね
遠くからから聞こえる
子どもの遊ぶ声だけが
葬送曲のように美しく響く
春はそれすらも
拒否するだろう
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