恋と吐き気/キタノ
死ぬ瞬間まで、本当に自分が時間が経つと死ぬ人間という生物であるかは知ったこっちゃない。
だからたとえば死は来ないと仮定しよう。
そうすると時間は消滅し、人間と空間だけが存在することになる。
では空間を消すにはどうすればいいのだろう。
感情というものを忘れたらたぶん、僕たちは厚みのない平面になれるから、
いつか、
そうしよう。
>あなたは随分遠い所に住んでるんですね。
そう書いたメモが手渡されたとき、僕たちは目と鼻の先に
いた。
我々はいつも、似たような生物であるという妄想ていうか仮定を通じて互いを知って、
俺は自分のしていることが分からないまま走ってるよ。君もそう?
この世界を捉える僕の視力も聴覚も何覚も
使えなくなったとき、
くらやみが降りてきて
足が拒絶反応を起こして吐き気を覚えたけれど、
恋には意味が、あるんだ。
「だから。」
俺は順説を言います。
>あなたは随分遠い所に住んでるんですね。
月がその声を飲み込んで保留しておいてくれるそうです。
というのはおしゃれな嘘
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