someone/霜天
 
どうでもいいことばかりに躓きたくなる
そういう趣味ではないのだ
「そんなもんだろう」と飲み込んでみせる

あなたを見ている人が、どれ程いるだろう
疲れ果てて掘った穴よりも空は深いというのに
潜り込むために引き摺った脚ばかりが
どうして見つかってしまうのだろう



夕暮れる
そのためにだけある街に
今日も揺られる個室は飛び込んで
吐き出される言葉はどこもそっくりだった

人はいなくなることができるかわりに
どこかでまたかたちになっていく、らしくて

しがみつけるほどの肩先に
そっと溜息を置いてみても
その重さはあなただけのもの、でしかなくて
結局あなたは
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