日本の小説を読み比べて/里欣
 
   日本の小説を読み比べて

「詩羽のいる街」を読んだが、詩羽の説明が長くなり理屈学問っぽく、小説本来の味、完成度が損なわれたような気がした。
 
 宮部みゆきの「おそろし」の最後が個人的に「敗筆」だと勝手に感じたが、ならすべてをまとまるいい案がある?といっても、こちらはもちろんピンとこない。

 今「テンペスト」の上を読んでいる。感心しながらいい予感がしている。今のところ短気で挫折するのではと、自分の心配をしている。

 花村万月の「ワルツ」を読もうとしたとき、ちょうど岡田利規の「三月の五日間」を読み終わるところで、文体が硬質で、膨らみが足りないような感触を受けた。

 今のところ、絹豆腐みたいな岡田利規の文体にやはり一番魅了されている。さすが大江健三郎第二回文学賞受賞作。

 とにかく、演劇家、詩人、脚本家たちも参入している日本の小説界が百花繚乱に見えてくる。
 戦国時代なのか、徳川の大奥なのか。
 
 読み比べ人は実に楽しいである。
 読書も恋愛と同じ、一種の縁である。
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