赤/セシル
「どうしてこの手はこんなに赤いの。」
目を閉じる
訪れる完全な暗闇
網膜の裏にちらつく 焼きついた赤色
切り捨てていくしかない世界なんて
本当はいらなかったよ
全部 全部 この手の中に欲しかったんだ
泣き叫ぶより強く 恐れるよりももっと強く
君の手を 握っていたかった
失うほどに赤くなる両手
空の青がなんて白々しいんだろう
ただ君だけがいればよかったなんて 言えない
だって今 僕は君がいない世界で笑ってる
だけどこの手は真っ赤だよ
呪われたように真っ赤だよ
心の奥 喪失が僕を蝕んでいくから
地を這うように 僕は君を思う
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