傘/ことこ
傾いた傘はあんまりにも遠くて、わたしは濡れていた。ふたりとも濡れていた、の。つまり傘なんて役たたずで、わたしはあんまりにもしあわせで、しあわせな濡れかた。の、降りしきる、雨がさくらを散らすのです。零れていくのです。水滴が、濡れていく、わたしたち以外を、見つめているのでしょう、守ってなど、くれないのでしょう
みどり、は鮮やかに映えます。こんなにも都会なのに、池はボートでうまるのです。こんなにも都会だから。かぞく連れははなやかで、こども達の歓声を、木の呼吸は含みます。森のように、はだかるものだから、どこもひらけてなどいないから、きっとここでは、キャッチボールができないのでしょう、だからみんなボー
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