煙草すい/北星三天
 





ねぇ

あんた
まさか煙草なんか吸ってないよね

まだ若かった僕は黙り込んだ

あたしと煙草
どっちを選ぶの?




まだ若かった僕は
次の日
彼女と別れた




街を歩いていると
警官に呼び止められた

怪しい風体の僕は
そんなことには慣れっこだ


散々質問された挙げ句
解放された


去り際に警官は
ちょっとあんた
最後に聞くけど
まさか煙草吸ってないよね?


僕は
まさかみたいな顔して
足早にその場を去った






見ちゃ駄目!
娘の目を手で覆い
母親が手を引き逃げ
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