蝶は虹になれない/ふるる
 
                 
朝目覚めると
見知らぬカマキリが隣で寝ている
夕べは酔っていて
少し悲しかったから

何か寝言を言った?
うん、つらくて、さみしいって
聞いちゃったのね
聞いたからにはダメよ

ねえ
わたしの羽根はきれいかしら                           今日の仕事は上手くいくのかしら
こんなふうに蝶になったり
人になったりするのは
時々やりきれない

わたしはつるつるした葉っぱの
きれいな雨水
のひとつぶになりたかった
存在をしたかった
ただひとつぶの水滴として

そして消えたかったし
虹になりたかった


戻る   Point(4)