蝶は虹になれない/ふるる
朝目覚めると
見知らぬカマキリが隣で寝ている
夕べは酔っていて
少し悲しかったから
何か寝言を言った?
うん、つらくて、さみしいって
聞いちゃったのね
聞いたからにはダメよ
ねえ
わたしの羽根はきれいかしら 今日の仕事は上手くいくのかしら
こんなふうに蝶になったり
人になったりするのは
時々やりきれない
わたしはつるつるした葉っぱの
きれいな雨水
のひとつぶになりたかった
存在をしたかった
ただひとつぶの水滴として
そして消えたかったし
虹になりたかった
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