いくつかの/砦希（ユキ）
いくつかの記憶をつくりました
ありんこが 角砂糖にむらがる姿を
思い出せなくなるくらい
東京に染まって
人を傷つけたり
いろいろ。
正直な話をしよう
自分さえ、幸せならそれでよかった
周りの誰かが泣いていても
大丈夫って適当になぐさめて
いい人って思われて
それでその人は結局なんにも救われていなくて
でも自分さえ、幸せなら
世界のどこかで戦争が起きています
今この瞬間にも何人ものこどもの命が消えています
地雷は何秒にいくつ爆発して
誰かの右足はなくなって
だけど私の足は、ここにある
いくつかの、泣きそうな世界の話を聞いて
いくつかの、罪悪感を覚えて
社会に、組み込まれながら
いくつかの記憶をつくりました
戦争は終わらないし
こどもは死に続ける
私は誰かを傷つけるし
誰のことも救えないんだろう
ありんこが、列をつくってどこかに向かう
小さなからだで なにかをみつけた
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