落下会/jin
頭蓋骨の中で膨らむ
不穏な気持ちの風船ガム
空はただれたマーブル模様
禍々しい陽光の
毒々しい着色料を浴びながら
落下会が集いはじめる
その集団は千の色彩と
甘い香りに包まれている
彼らは一種の儀式のように
パンの耳を捨てて歩く
バターのたっぷり塗られた
やわらかい部分のみを
食べていきたいから
瞳に貼りついた白い輝点が
クラゲのように泳ぎだす
彼らは導かれるままに
ビルの階段を上っていく
途切れそうにない靴音のソナタ
落下会の長い列は静かに進んでいく
屋上からの風景は
明るさ過剰のディスプレイ
現実はキューブの瓦礫と化している
彼らは増殖す
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