夢/ゆるこ
 
0.
どうも最近は性欲ばかりが先行して自慢の透視ができなくなってしまった
そんなことを口走ったら彼はおっきなあくびをひとつかいたあとに急にだんまりした
だんまりが嫌いな私は取り繕ったような捨て身の他愛もない話を彼に投げ込むけれど
彼の瞳が娼婦のようなきらめきを携えていたので 私の呼吸は彼に食べられてしまった

夜が明けるとか 朝がくるとか
本当はだいぶどうでもよくて
彼が隣にいて世界が変わることのほうが
私の世界は輝く気がしていた

1.
昔憧れた、きらきらしたステッキをもった魔法使いは
私に欲しいものをすべて与えてくれた

口にほおばるとはみ出しちゃいそうなおっきな
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