書簡の柩/
蒸発王
した文字列が
たわいもない日常を綴るだけ
其の
最後に
白い
もうしわくちゃに成った
アイリスの花びらが同封されていた
私が最初で最後に送った
私の国の国花だった
黒塗りの箱に
その最後の花びらを入れた瞬間
ようやく
私は彼女の死を正しく認識し
箱の底に一面に広がる彼女の残骸に
目を
上手く
あけていられなくて
静かに蓋を閉じて
土に埋めて
懺悔のように
彼女に告白した
『書簡の柩』
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