それから俺は3分ほど何も考えなかった/ホロウ・シカエルボク
病むように降る春の時雨を、腑抜けた心で受けながら急ぐ繁華街の―喧噪の迷路、大きなドラッグストアと、年寄り向けのミュージックショップからの音楽が混ざり合って不快感を計測する実験を実行中、のような、そんなリズムがアーケードに生れ、聞かないようにと携帯電話に格納してあるアンダー・マイ・サムを内耳まで突っ込んだ、弾け過ぎないビート、こそが俺の日常を調律する武器となる
薄汚れた、だけど素敵な小さなペットショップの店先でしおれ変色したレタスをついばんでいる麦芽パンみたいな毛色のミニウサギ、俺はもはや媚を売ることに疲れた、気まぐれに優しくしてもらうことに疲れた、そんな気分を、コロ
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