陽光/アヅサ
おはなの香りは麻薬のようです
やっと離陸した春たちは
いっせいにビルから飛び降りて
女の子たちの透明な鱗に
好んで住まうらしい
ちょうちょが飛んでいくのを見て
銃に撃たれてしまわないよう
それだけ僕は願った
それだけ
日々と日々の間で
僕たちはキスをしたり抱き合ったり
かわいいとかかっこいいとか
花びらを指先に纏って
笑いながらしゃべりながら
どこまでもゆけるのです
どこまでも
まつげが風になびくその一瞬に
透明な鱗が桃色にかわる
それで世界が変わるわけではないけど
少なくとも僕はうれしい
もっともっとキスをしたい
どうでもいい日々を 大事にしたい
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