砂漠の中の砂時計/あの葡萄は酸っぱいと、星に向かって言うな/海里
 
幾つかの星々が長い年月の間に
微妙にその位置を変えているらしいことは
発見されていました
紀元前からの古記録がありましたから

今ではわたしたち
さまざまな眼差しを手に入れて
広がりに奥行きと時間とを持った
宇宙の地図を描くことが出来ます

オリオン座も北斗七星も
たまたまあんな並びに見えているだけではなく
本当に彼らは彼ら同士
同じ家に生まれた兄弟(注:ベテルギウス等、その星座の一部構成員を除く。)らしいこととか

北極星も何千年か前には
今の位置にはなかったこととかね

だから例えば
孔子が言っていた天極は
おそらくは老子も見上げていた天極は
それは星ではなかった

夜空のうち
空っぽのとある一点こそが
季節にも左右されない
毎日の星の巡りの中心であること

いつだって
今だって
見えるものしか見届けられないけど
見つめ続けずにはいられない

だからあの葡萄は酸っぱいと
星に向かって言うな
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