からたち列車/あ。
 

どうやらここが終点らしい

さわさわと揺れる葉には見覚えがあった
からたち、だ
誰かが植えたのか
何のために植えたのか
わからないけれど、とにかく
からたちがしげっていた

家はないけど
垣根のように
何かを守るように
全てを守るように

からたち列車から降りる
尖った優しさに触れながら
土のあたたかさに触れながら

きっとはじめて
すやすやと眠った
旅は、ここまでにしよう。

戻る   Point(6)