からたち列車/
あ。
み
どうやらここが終点らしい
さわさわと揺れる葉には見覚えがあった
からたち、だ
誰かが植えたのか
何のために植えたのか
わからないけれど、とにかく
からたちがしげっていた
家はないけど
垣根のように
何かを守るように
全てを守るように
からたち列車から降りる
尖った優しさに触れながら
土のあたたかさに触れながら
きっとはじめて
すやすやと眠った
旅は、ここまでにしよう。
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