彗星は氷塊なのだから/
佐々宝砂
ああ目をとじてくださいどうか
そしてなにものにも耳を貸さないでください
なにひとつ感じないでください
わたしはあなたにくちづけを贈りますが
どうか感じないでください
わたしがあなたにしるしを残しうるのだと
そんな幻想をわたしが抱かずにすむように
明日もまた
わたしを適当にあしらってくださいどうか
春の日がさかしげに落ち
春風は楽しげに吹き
あなたはわたしを
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