螢/
草野春心
もう静かに語る
ひとつながりの都会
夜の新宿を見つめながらきみは笑っていた
その手のひらで
やわらかい声がふくらむ
どこへゆくの?
ぼくはただ此処に在ることが幸せで
そして此処に在ることを怖れていた
暮らしてゆくことは
痛いだろう
呼吸を止めることよりも
ずっと痛いだろう
きみの思いを教えてほしい
ずっと生きてきたのなら
いつか死んでしまうなら
もう静かに眠る
ひとつながりの都会
そうやって
静かに
結ぶ手も
ほら
……痛い
ちゃんと
痛い
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