彼方/
岡部淳太郎
あり
それがいままたこうして
あらたにべつのやりかたで
きりはなされたようにおもえる
ずっととおく
あちらのほうへいってしまえば
こちらのほうとむすびつけるものはなにもない
私はいまもまだてをふることができずに
じぶんのてのひらのしわをみつめているが
あの人は私たちとはちがういのちに
なってしまったようにおもえる
そんなとおいいのちが
いくつもやまのむこうに
ばらばらにたたずんでいる
そんなふうにおもえるのだ
(二〇〇八年十二月)
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