白い世界の果てに/水島芳野
手の中で息絶えていく
鮮やかな言葉や夢が
何の意味もなく
何の意味もなかったもののように
僕の中で沈黙する
その、瞬間が。
雨音のように僕を黙らせる
だから、かなしくて。
君の美しい手首に見つけた
傷跡の意味のような
無言の叫びを抉り出して
美しい彫刻にしようか
すべてを形にしなくてもいいと
言ったのは君じゃないか。
世界の残酷さなんて
言われなくてもわかってるし
誰もが知ってるに決まってる
頼むから、なんだっていいから
僕に願い事を唱えてくれよ
わかってほしいなんて訴え
とっくの昔に気づいてる
君の瞳の翳りにも
とっくの昔に気づいてる。
呼び覚ますこともできない
お伽話の結末に似た
不自然なまでの幸せさと
あまりにもありふれた不幸が
今日もまた僕らに斬りかかるけど
君だけは幸せになってほしかった、なんて
こんなところで言っても
なんにもなりはしないのに。
さあ、
言うよ、
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