卒業式 〜水曜日の図書室〜/BOC
あなたに会えるのは
毎週水曜日だけでした
毎週水曜日になると胸を踊らせて
少しでもあなたとしゃべれますようにと
全力疾走で廊下を走って
あなたの待つ図書室へと向かっていました
でも いざ前にすると
なかなか素直になれなくて
少し敬語交じりの口調で
にくまれ口をたたいてばかりいました
名前も知らない人でした
誕生日も
血液型も
好きなことも
嫌いなことも
何一つ知りませんでした
ただ 一緒にいれるだけでいいと思っていました
もうじき会えなくなることは わかっていました
だからこそ 何も聞きませんでした
すべて 記憶から消し去れるようにと
だけど
あなたのいない水曜日の図書室は
こんなにも寂しい
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