ハイライトのある風景/草野春心
まず思考が積もり、
湿った言語が積もり、
牢獄のような会話が積もる。
(一人の自分として生まれたからには)
(一人の自分として死なねばならない)
我らの哲学は灰皿に積もる。
悲しみが降り、
尖った絶望が降り、
アルミニウム製の雨が降る。
(一つの心を抱えて生まれたからには)
(一つの心を抱えて死なねばならない)
他人の思考は遠くの地面に降る。
ハイライトに還れ
疲労に喰われた影を
幻想に差して消えた
あの光を捨て
生とは奏でること
さあ、ハイライトに還れ
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