白い絵/ヨルノテガム
うちのハハは口汚い声で よぼよぼのうちのおじいさんを
ののしる
いつもおれは うちのハハをなぐりつけて
だまらせる幻覚をポケットの隅に眠らせている
おれがいないとき
誰が口汚い声を聞かなければならないのだろう
誰もいないし
確かめる術は何も思いつかない
*
曲を聴いている
試聴の曲を聴いている
世界を試しながら
寝るしかない夜の終わりを
曲を聴いている
試聴の曲を聴いている
*
絵ができる
抽象的な簡素な人影に 曲線を横に添わせ
全て白で塗られた絵ができた
何か祈りたくなるような 上手でもない絵が描けた
7つの人影
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