夏休みの終わる時/do_pi_can
 
故郷の山からの風がささやく
夏休みが終わる,と

かつて歩いた細い山道の途中の
小枝の先に揺れていたのは,
今,僕の目の前にあるのと同じ夏の抜け殻だったのか
薄く,ふわりと頼りなく,手に取ると,
氷のように溶けて無くなった
― ごめんなさい,今いそがしいの,また後で
― うん,それじゃあ
消え入るような薄日の中
夏休みが終わる

プールの水が抜かれ
夏休みが終わる

電車の窓が開けられ,風が通り抜け
夏休みが終わる

疲れた心だけを残して
夏休みが終わる

そして,季節のドアが開かれる


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