疲れた魚/琥霙ふうり
 
空なんか眺めたり
欠伸の回数、よりも
溜め息が勝って
 
僕を狙う
カモメの数を数える
何百 何千と
 
敵ばかり増やして
 
 
上下に浮き沈み
エレベーターみたい
 
尻の浮く、
感覚が癖なのだけれど
 
ドアを出入りする
君達は、なぜ?
足があるのだろうか
 
ボタンを押す
君達は、なぜ?
手があるのだろうか
 
(目が回る
 
簡単な仕組みすら
何かを犠牲にした
億劫な世の中
 
 
やがて
水槽の中に、石が増え
海藻が増え
 
以前より増して
蛍光灯は怒ってて
 
酸素不足な水中で
必死な縦泳ぎ
 
唇は
見えない天井と
憂鬱な口付けを交わす
 
 
石ころに座り
社会の窓際
外の世界に憧れる
 
ヒレを閉じた瞬間から
エラを閉じた瞬間、から
 
 
どうやら、
泳ぎ方を思い出せなくなったようだ。
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