お人形さんごっこ/中原 那由多
 
雲の行方は映写機のよう

ごぉーぅ、ごぉーぅ
あれは群集の音ですか?
ごぉーぅ、ごぉーぅ
いいえ、冬が嘆いていらしてよ

一度っきりの気休め

ごぉーぅ、ごぉーぅ
これは雨の音ですか?
ごぉーぅ、ごぉーぅ
お馬鹿さんね、妖精が憤怒を覚えているに違いなくてよ

部屋の明かりはいつからついていたろうか

ごぉーぅ、ごぉーぅ
じゃあきっと天使が嘆いているのですね
ごぉーぅ、ごぉーぅ
呆れたわ、神が絶望しているってどうして分からないのかしら

手がやけに冷たく感じる

ごぉーぅ、ごぉーぅ
だったらこれはもしかして
ごぉーぅ、ごぉーぅ
そうでしてよ、悪魔が破滅を営んでいるのですわ

生温い風が吹いた

ごぉーぅ、ごぉーぅ
ねぇ、
ごぉーぅ、ごぉーぅ
少女は薄汚い僕を抱えたまま動かなくなってしまった

ごぉーぅ、ごぉーぅ

それは死神の笑い声だったんだとさ


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