天国の扉/ホロウ・シカエルボク
出してきたようなカラスが荒れ果てた五階建てのビルの屋上、給水塔の上から馬鹿笑いする街を眺めている
アイリーン、ラジオのチャンネルをロックンロールに合わせてくれ、どんな手の込んだ細工もいらない、三人や四人や五人の男たちが演奏するただのスピリッツが聴きたい、黒ビールを何本放り投げても何かが足りないと感じるこんな時間には…やたらとベルの鳴る音楽なんかいらない、判るか?プログラムされたリズムや、加工された声なんか今は聴きたくないんだ、アイリーン、アイリーン、ラジオのチャンネルをロックンロールに…それだけあればすべては忘れられるはずだったのに、ミック・ジャガーが幾千のライトの下で腰をくねらせているだけで…
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