逆転/高橋魚
 
鳴いた、犬が。そして失った。
私と犬は同じ空間にはいないので
すぐに失う
知ってしまったその存在
と、その消失
私は穴を埋めようと
懸命に窓の外へと手を伸ばす
普段歩いている道を
同じように手で辿り、犬の居場所を目指すのだが
何故か迷ってしまう
そうして行き着いた先には、あの犬はいなくて
かわりに
窓の内にいる、私、がいるのだ。
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