別れの距離/小川 葉
 
 
 
僕らは出会った
地上から空を見上げる
距離でしかなかった
そんな僕らが

とても遠いところから
生まれてきたような
そんな僕らが

買ったばかりのノート
一ページ分にも満たない
会話しかなかったのに

僕らは
永遠ではないというのに
たくさんのノートは
永遠に塗りつぶされていくと
信じていた
僕らの言葉で

明日になれば
僕らの知らない
地上から
空を見上げている

死に別れた
わけでもないというのに
出会う前と同じ距離を
知ってしまった
そのことが
何よりもかなしい
 
 
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