さかなびと/山中 烏流
 
には
先端がないから
器用に
いろいろをこなすことは
とても/何よりも
難しく
それでいて、自然だった


いま、みえて/きこえている
そのはんいいがいのことなんて
いたってどうでもいい
きっと、そんなもの


きみは
ほんとうしか話せない
口先を持たないのだから
当たり前
なのだけれど


わたし、うまれかわるなら
せいしになりたいの


  *


わたしのさかなは
そらをおよいだりしない
ましてや
とびうおでもあるまいし
とんだりはねたりなど
できるはずもない

はんとうめいのひれが
おなさけていどに
くっついていて
あとは
ちいさなえらがあるだけの


しかしきみはそれを
うつくしい、

という


  *


あれはさかなですか

いいえ、
しかし鳥ではありません









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