牡丹雪/琥霙ふうり
頭で気付く、よりも前から
体は分かっていた
の、かもしれない
朧気[オボロゲ]に陰っていく
あなたの背中は小さく
しがらみの中、駆け回る
私の足は
不器用な足跡を残して
長閑[ノドカ]な昼は
何も知らないまま
浮かれた夜に
━━浅く眠る
ひたすらに、もだす
生み出せない
私の中、の 私
颯爽と去りゆく裾
掴み損ねた、時から
この手の意味は
失われてしまった
ふいに、訪れる
静寂に抱かれれば
耳を泣かす
臍[ホゾ]を噛む、音
(夢を見ていた。
あなたを見ていた。
私自身を、
見ていなかった。)
欠けた満月
片割れの瞳
暗闇に巣くう銀糸
ひっそり、と
複雑に絡み合った
姿態は晒されて
懇[ネンゴ]ろに謳[ウタ]う
一途な聲[コエ]、だった
故に
振り返る (雪しろの狭間)
私、達は
交わらないと知り
一筋の涙
(思い出に解けて、
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