[失楽園]/東雲 李葉
 
例えばさ、
何の前触れもなく空が落ちてきて
叫び声や悲鳴が平和な町を覆い尽くして
向こう側に光が無かったら
今夕日を背負ってるこの道が
赤く燃えて割れてしまったら
私は誰に思い出してもらえるだろう
たくさんいるのに誰もいない
求めることは不器用なのに欲しがることには貪欲で
知らない間に知ってた人達
姿も形も変わってしまって私だけがいつまでも
何にも変わらないまま
いつまでも ひとり
守りたいものばかり溢れて
でも本当は何にも要らない
欲しいと思ってみたいだけ
絶対に手に入らないなら
簡単に手に入るなら
そんなの いらない
どこで誰がこんな私を欲しがるの

ひび割れた空の欠片で
誰かが足を切ってしまっても
なんだかもっとひどくしそうで
声をかけられないでいる
やがて彼女は彼と一緒に
二人で一つの影となり光の向こうへ消えてった
背中に隠した包帯を自分の腕に巻きながら
誰かの言葉を待っている
ここには私だけなのに
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