例えばこの手の中に拳銃が/虹村 凌
もその一撃をどこに向けるのだろう
その一発をその一撃を
後生大事に抱えたまま何処に向かうと言うのだ
繰り返し繰り返しエア拳銃自殺
繰り返し繰り返しエア拳銃自殺
繰り返し繰り返しエア拳銃自殺
繰り返し繰り返し
それでもその一発は自分には向けない
それでもその一撃は他人には向けない
例えばこの手の中に拳銃があるとする
リボルバーの中には一発の弾丸が込められているとする
例えば目の前に死ぬ程に憎い奴がいるとする
部屋には二人しかいないとする
別に社会に風穴開けるとか転覆させるとか
そういう大きい事を言いたい訳でもないし狙ってもいない
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