輪廻する、夏/望月 ゆき
 
ことを許してはくれない

水母によって喚起されるイメージと
浮遊をくりかえす
そのあいだもずっと聴こえ続ける
無言歌

硝子のコップに残る指紋が
日向に浮かぶ

存在の痕

日焼けの重さ





一ミリ、ずれてなお
つじつまが合っていく

覗きこむ
カレイドスコープ、
夏の星座、
そのように




釣鐘草が不変を身ごもり
産み落とすことなく散っていく
消えていく虹だけが
それを知っている
消えながら虹は もう
誰の明日にも残らない




浄化された夜が
西へ、流される


朝焼けのコラージュ

ヘリオトロープの残り香

水盗人

いつまでも手をふる、送り火



  



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