木馬鞍/ICE
 
夕凪の丸っこい淵が
海月の境界をもって

くわりゆわり

空の僅かな油断の隙に
目をかすめ
行く手のそちらで手をふるせいで
まるで知り合いのように羞じらいもなく
白昼夢をちぎり明かし

日が沈むまでの
一番に
美しい影と質感を
たたえる
中くらいに
都合良く欠けたままの

あなたよ

磨耗すら起こらない
その空っぽの記憶よ

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