傷痕/
薬堂氷太
朽ち果てた 材木を握りしめ
今日も 何処へ行く
誰を殴りたいのか
何を潰したいのか
背負った過去は重すぎて
肩の上に圧し掛かり
荷の下ろし方を知らない僕は
このどうしようもない 苛立ちを
不器用に 拙い術で
逃れようと もがき
今日も 街を撫でながら
自分へ 自分のことを
問いかける
それはまるで
受話器を下ろしたまま
放置された公衆電話のように
誰も聞いていない 一方通行の会話
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