ポアレは腕で振れ/吉岡孝次
 
薄ぼけた郷里における仰臥にあって
ロックンロールの焦燥を体躯に引き受けていた少年 は
押し花のように

忘れられた、ってわけでもないのだが
ファミレスでの勉励は
もう転がり込む先をなくした出戻りをコックへと
ひろげてゆき

どの客も舌先で錆の色合いを嗅ぎ分けては悦に入る新世紀初頭
僕だけがウキウキと誰も知らない生き方の柄をつかんでいる


戻る   Point(1)